安心してホテルに宿泊するためには、建物の耐震性が十分か、耐震補強がされているかどうかをチェックする必要があります。耐震改修促進法により、3階建て、5000㎡以上のホテルは耐震診断を行い、その結果を都道府県に報告しなければならないことになりました。都道府県は報告を受けた結果を一般に公表し、利用者はそれを元に安全性を判断できるようになりました。安全性の確認は耐震性だけでは足りません。火災による安全性を証明するものとして、消防機関が発行する表示マークがあります。表示マークは金と銀に分かれ、金の方が継続的に安全を確認できた建物です。宿泊施設が安全かどうかの判断は、一般の利用者には判りづらいものです。公的機関の制度を活用することで、安全性の高い施設へ宿泊することができます。

耐震性の分かれ目となる建築年月

建築物の耐震性を定める建築基準法は、1981年6月に耐震基準が改正となり、新耐震設計基準が適用となりました。それまでの耐震基準は旧耐震基準と呼ばれ、区別されるようになりました。新耐震設計基準で建てられた建物は、耐震壁の量の確保や、バランスが取れていて、旧耐震設計基準で建てられた建物よりも安全といわれています。基準の制定後に起きた、兵庫県南部地震、東日本大震災においても、新耐震設計基準で建てられた建物の安全性が証明されました。問題が残るのは、1981年5月以前に建築確認申請がおりた、比較的古い建物です。耐震改修促進法により耐震診断が義務付けられるのは、それらの建物です。建物の用途や規模により対象が異なりますが、宿泊施設の場合は、3階建て、5000㎡以上の建物が対象となります。

基準を満たしていても不安が残る建物

旧耐震設計基準で建てられた建物が、全て耐震性が低いわけではありません。耐震壁が少なかったり、壁のバランスが悪い建物が、大きな地震に耐えられない恐れがあると判断されます。旧耐震設計基準で建てられた建物が安全かどうかは、耐震診断を受けることで判明します。耐震診断により安全性が確認できれば問題はありません。耐震診断で耐震性が足りないと診断されても、耐震補強を行うことで、安全性を高めることができます。元々、新耐震設計基準と旧耐震設計基準は、許容応力度法という設計方法により設計されており、基本的な設計方法に極端な違いがあるわけではありません。耐震診断で耐震性が低いと診断されても、耐震補強を行うことで、十分安全な建物に生まれ変わることができます。新しい建物で免震構造を採用しているホテルは、地震に対して比較的安全とされています。しかし、免震装置に使われているゴムは、一定期間内に取替えが必要で、メンテナンスを怠ると、危険な建物になりかねません。